
6月、梅雨の季節がやってきました。ジメジメとまとわりつくような湿気、すっきりしない天気、なんとなく心も体も重だるくなる…そんなイメージの季節ですね。
東洋医学では、季節の変わり目は体の調子を崩しやすい時期と考えられています。
また、体に悪さをする湿気のことを、東洋医学では「湿邪(しつじゃ)」といい、特にこれからの梅雨のシーズンはその湿邪が体に影響を及ぼし、様々な不調を引き起こすと考えられています。そのために湿気への対策がとても重要になります。
今回のブログでは、東洋医学的考え方から6月を心身ともに健やかに過ごすための養生法をお話します。
梅雨の不調を吹き飛ばし、来る暑い夏を元気に迎えましょう!!
目次
6月の東洋医学的特徴:なぜ梅雨に不調が出やすいの?
東洋医学では、自然界と人間の体は密接に繋がっていると考えます。季節の移り変わりは、私たちの心身にも大きな影響を与えます。
もともと日本はぐるりを海に囲まれていて湿気の影響を受けやすいうえに、6月、特に梅雨の時期には気温が上がり、さらに湿度が高まります。
そんな時期に不調を感じやすいのは、主に以下の2つの要素が関係しています。
五行で見る6月:「脾」の季節と「湿邪」の影響
東洋医学の考え方の根幹の一つに「五行(ごぎょう)」という考え方があります。これは、自然界のあらゆるものを「木・火・土・金・水」の5つの要素に分類し、それぞれが互いに影響し合うことを示したものです。

6月は、五行では「土(ど)」の季節にあたります。この「土」に対応する臓器が「脾(ひ)」です。
東洋医学での「脾」は、西洋医学の脾臓とは少し異なり、消化吸収機能全般と体内の水分の代謝を司る重要な臓器と考えられています。
脾は、私たちが食べたものから栄養を取り出し、全身に巡らせる役割を担っています。また、体内の余分な水分を排出する働きも持っています。いわば体の除湿器のような働きです。
しかし、梅雨の時期は空気中の湿度が高く、ジメジメとした環境が続きます。このような湿度の高い環境は、湿に弱い脾に影響を及ぼし、その働きを弱めてしまいます。
脾の働きが弱まると、食べ物の消化吸収能力が低下しエネルギーの生産が落ちたり、体内の水分代謝が滞り、余分な水分が体の中に溜まってしまう結果、様々な不調を引き起こされます。
湿邪が引き起こす具体的な不調
湿邪は、その名の通り「湿り気」や「重さ」、「ジトジト」を特徴とする邪気です。体に入り込むと、以下のような不調を引き起こしやすいと考えられています。
- 体の重だるさ、むくみ: 湿邪が体に滞ることで、全身が重く感じられたり、手足や顔がむくんだりします。朝、顔がパンパンだったり、夕方になると靴がきつくなるような経験はありませんか? それは湿邪の影響かもしれません。
- 消化器系の不調: 脾の働きが弱まるため、食欲不振、消化不良、お腹の張り、下痢といった症状が出やすくなります。胃がもたれる、食べても美味しく感じない、といったことも起こることがあります。
- 頭痛、めまい: 湿邪が頭部に滞ると、頭が重く感じたり、締め付けられるような頭痛、あるいはふわふわとしためまいを引き起こすことがあります。
- 関節痛、神経痛の悪化: 湿邪は「重さ」や「停滞」を特徴とするため、関節や神経に溜まると、痛みが強くなったり、悪化したりすることがあります。特に雨の日に古傷が痛む、という方も少なくありません。
- 皮膚トラブル(湿疹、水虫など): 湿邪は皮膚にも影響を与え、ジュクジュクとした湿疹やかゆみ、水虫といった湿気を好む皮膚病を悪化させることがあります。
- 気分の落ち込み、だるさ: 体が重だるいと、気分も沈みがちになります。やる気が出ない、体が動かない、といった精神的なだるさも湿邪の影響とされています。
「心」との関係:梅雨は心のケアも重要
6月は、五臓の「心(しん)」にも影響が出やすい時期です。東洋医学の「心」は、西洋医学の心臓の機能だけでなく、精神活動や意識、思考といった精神的な側面も司るとされています。
湿邪によって体が重くなると、気の巡りも滞りがちになり、心の働きも影響を受けます。イライラしたり、気分が沈んだり、不安を感じやすくなったりすることもあります。
また、睡眠の質が低下し、不眠や多夢といった症状が出やすくなることもあります。
このように、6月の梅雨時期は、湿邪によって「脾」の機能が低下し、それが全身の様々な不調を引き起こすだけでなく、「心」の働きにも影響を与え、精神的な不調をもたらす可能性があります。だからこそ、この時期に適切な養生を心がけることが非常に大切になります。
6月の養生法:東洋医学で梅雨を快適に過ごす具体的なヒント
それでは、具体的にどのような養生法を取り入れれば良いのでしょうか。
食事、生活習慣、セルフケアの3つの柱から、今日から実践できるヒントをご紹介します。
1. 食事:湿邪を排出し、脾の働きを助ける「薬食同源」の知恵
日々の食事は、私たちの体を作る基本です。梅雨時期の食事は、「湿邪を体から排出する」ことと「脾の働きを助ける」ことを意識することが重要です。
積極的に摂りたい食材
- 利水作用のある食材(体内の余分な水分を排出する)
- きゅうり、冬瓜(とうがん)、なす: 体を冷やす作用もありますが、利水作用が非常に高く、夏野菜として梅雨時期にぴったりです。ただし、摂りすぎは体を冷やしすぎることがあるので、温かい料理に取り入れるなど工夫しましょう。
- もやし、ハトムギ、あずき: これらは特に利水作用に優れており、むくみ解消に効果的です。ハトムギはご飯と一緒に炊いたり、お茶として飲むのも良いでしょう。あずきは甘さ控えめの煮物やぜんざいなどで食べるのがおすすめです。
- トウモロコシのひげ(コーンシルク): 漢方薬(「南蛮毛(ナンバンゲ))としても使われるほど利水作用が高く、お茶にして飲むのがおすすめです。
- 緑豆(りょくず)、昆布、ワカメ: これらも余分な水分を排出する助けになります。日本では緑豆はあまりなじみがありませんが、春雨の原料、もやしに使われています。これらも身体を冷やす作用がありますので摂り過ぎには注意が必要です。
- 脾を助ける食材(消化吸収機能を高める)
- 山芋(長芋): 消化酵素が豊富で、脾の働きを助け、滋養強壮にも良いとされています。すりおろしてご飯にかける、和え物にするなどがおすすめです。ただし山芋は体を潤す効果もあるので、すでに体内に湿が溜まっている人は、少量を火を使った料理にして食べたり、上記の利水作用のある食べ物と一緒に食べてください。
- 豆類(大豆、枝豆など): 脾の働きを補い、気の巡りを良くします。
- きのこ類(しいたけ、えのき、しめじなど): 食物繊維が豊富で、脾の働きを助け、体内の余分なものを排出するのを助けます。
- かぼちゃ、キャベツ、サツマイモ: 甘味があり、脾の働きを助けると言われる食材です。
- 生姜、大葉(しそ)、ミョウガ: これらは体を温め、気の巡りを良くし、湿邪の停滞を防ぐ働きがあります。料理のアクセントとしても積極的に使いましょう。
避けるべきもの・控えるべきもの
- 冷たいもの、生もの: 脾は冷えに弱いため、冷たい飲み物や生野菜、刺身などは消化吸収に負担をかけ、脾の働きを弱めてしまいます。冷たいビールやアイスクリームなども控えめにされるのがよいです。
- 甘いもの、脂っこいもの: これらの食品は、体内で「湿」を生み出しやすいと言われています。特にケーキや菓子パン、揚げ物などは、湿邪を増やし、消化器に負担をかけてしまいます。
- 過剰な水分摂取: むくみが気になるからといって、水分を摂りすぎると、かえって脾に負担をかけ、むくみを悪化させることもあります。喉が渇いた時に適量をゆっくり飲むようにしましょう。
調理法:温かく、消化しやすいものを
冷たいものは避け、温かく、消化しやすい調理法を選びましょう。煮物、蒸し物、汁物、スープなどを積極的に取り入れるのがおすすめです。生姜やネギ、大葉などの薬味を上手に使い、体を温め、気の巡りを良くする工夫も忘れずに。
2. 生活習慣:湿邪から体を守り、心身を整える
食事だけでなく、日々の生活養生も梅雨の時期には欠かせません。
- 適切な湿度管理: ジメジメとした環境は湿邪を増やします。除湿器やエアコンの除湿機能を活用し、室内の湿度を40〜60%に保つよう心がけましょう。
また、窓を開けてこまめに換気を行うことも大切です。湿気がこもりやすい浴室や洗面所のカビ対策も忘れずに。 - 体を冷やさない: 湿邪は冷えと結びつきやすい性質があります。
シャワーだけでなく、湯船にゆっくり浸かり、体を芯から温めることを意識しましょう。ぬるめのお湯に長く浸かることで、じんわりと汗をかき、体内の湿邪を排出する助けにもなります。
また、冷房の効いた場所では、羽織るものを用意したり、首元や足元を冷やさないように工夫しましょう。 - 床に直接座らない:湿は下に溜まりますので床に直接座ったり、板の床に布団を引いて寝ると湿邪の影響をより受けやすくなります。この季節だけでも椅子に腰かけたり、すのこやマットレスを敷いたりして、出来るだけ床から離れたところで過ごすようにしましょう。
- 適度な運動: 湿邪は「停滞」を特徴とするため、体を動かして気の巡りを良くすることが大切です。
ウォーキングや軽いジョギング、ヨガ、ストレッチなど、じんわりと汗ばむ程度の運動を心がけましょう。
汗をかくことで、体内の余分な水分や老廃物が排出されやすくなります。
ただし、梅雨時は体力が落ちやすいので、過度な運動は避け、無理のない範囲で行うことが重要です。雨の日でもできる室内での体操などもおすすめです。 - 質の良い睡眠: 湿気が多いと寝苦しく、睡眠の質が低下しがちです。寝具を工夫し、吸湿性・放湿性の良いものを選びましょう。寝室の温度や湿度を適切に保ち、快適な睡眠環境を整えることも大切です。布団乾燥機などを用いるのも一案です。
早めに寝て、ぐっすり眠ることで、体力を回復させ、湿邪に負けない体を作ることができます。 - 心(精神)のケア: 湿邪は心の健康にも影響を与えやすいことをお伝えしました。ストレスを溜めない工夫や、心身をリラックスさせる時間を意識的に作りましょう。
- 趣味の時間を持つ: 好きなことに没頭する時間は、最高の気分転換になります。
- 好きな音楽を聴く: リラックス効果のある音楽や、気持ちが明るくなるような音楽を聴くのも良いでしょう。
- アロマテラピー: 湿気で気分が重い時には、柑橘系やミント系、ヒノキなど、気分をリフレッシュさせる香りのアロマオイルを焚くのもおすすめです。
- ゆったりとした時間を過ごす: 忙しい毎日の中で、あえて何もしない時間を作ることも大切です。お茶をゆっくり淹れる、読書をする、ぼーっと外を眺めるなど、無理せず自分を労わる時間を作りましょう。
- 日の光を浴びる: 晴れ間が見えたら、積極的に外に出て日の光を浴びましょう。気分転換になり、体内時計を整える効果も期待できます。
3. ツボ押し:セルフケアで不調を改善
東洋医学では、体の表面にある「ツボ(経穴)」を刺激することで、体内の気の流れを整え、不調を改善できると考えられています。梅雨の時期に特におすすめのツボをご紹介します。
梅雨の不調に効くツボ
水分(すいぶん):

- 場所: おへそから指1本分上。
- 効果: 体内の余分な水分の排出を促し、むくみ、消化不良、お腹の張りの改善に効果的です。水分の代謝を整える重要なツボです。
- 押し方: 親指または中指で、軽く押しながら小さな円を描くように優しくマッサージします。
足三里(あしさんり):

- 場所: 膝のお皿の下から指4本分(だいたい指を揃えたときの横幅)下がった脛の外側、少しへこんだところ。
- 効果: 「胃腸のツボ」として非常に有名で、消化吸収機能を高め、脾の働きを助けます。食欲不振、胃もたれ、だるさの改善に効果的です。元気のツボとも言われています。
- 押し方: 親指で少し強めに、心地よいと感じる程度に数秒間押して離す、を繰り返します。
陰陵泉(いんりょうせん):

- 場所: 膝の内側、すねの骨のくぼみの下。脛の骨の内側を、膝から足首に向かってなぞっていくと、骨の際で止まる場所。
- 効果: 体内の余分な水分を排出する利水作用が非常に高く、むくみ、だるさ、下肢の重さの改善に効果的です。
- 押し方: 親指で少し強めに、骨のきわをえぐるように押します。
内関(ないかん):

- 場所: 手首のしわから指3本分下、腕の中央の2本の腱の間。
- 効果: 吐き気、乗り物酔い、胸のつかえ、不安感、不眠など、精神的な不調にも効果的です。心の安定を促すツボとされています。
- 押し方: 親指で、少し圧をかけながらゆっくりと押したり、揉みほぐしたりします。
百会(ひゃくえ):
- 場所: 頭のてっぺん。両耳の先端を結んだ線と、鼻から後頭部に向かってまっすぐ伸びる線が交わる点。
- 効果: 頭痛、めまい、自律神経の乱れ、ストレス、不眠など、様々な症状に効果があります。気分をすっきりさせ、リラックスを促します。
- 押し方: 中指か人差し指で、心地よいと感じる程度の強さで優しく押したり、頭皮を揉むようにマッサージしたりします。
ツボ押しは、食後すぐや飲酒時は避け、リラックスできる環境で行いましょう。各ツボを数回、ゆっくりと深呼吸しながら押すのがポイントです。毎日続けることで、より効果を実感しやすくなります。
湿邪はなかなか手ごわい:私の経験から
私が長女を出産したのは1995年の6月で、その年は朝から晩までずっと雨の日が何日も続く梅雨の年でした。当時は若かったのと、湿邪に対して知識もなく無防備だった私は、「靴下を履きなさい」という母の忠告も聞かずに、素足で畳にペタッと座り、日がな一日赤ん坊の世話をして過ごしていました。
結果、湿邪が冷えを引き連れて私の中に入り込み、私は見事に痰湿体質になってしまいました。(今から思えば・・・です。当時は全く無知でした。)
水枕でも抱えているかのような体の重だるさ。夏でもお腹や足が冷える。汗をかきにくい。たまに起こるめまいやかゆみを伴う湿疹・・・などなど。
そして30数年が経った今でも私の痰湿体質は変わっていません。どころか、年々面倒なことになっているような気がしないでもありません。
冷たい物は極力避けて、お風呂に入って汗をかくようにしているにも関わらず!です。
一度湿邪が体の中に入り込むと、なかなか厄介であると聞いたことがありますが、本当にそれを実感しています。
まとめ:梅雨を乗り越え、健やかな夏へGO!
6月の梅雨時期は、湿邪の影響で心身に様々な不調が出やすい季節です。しかし、東洋医学の知恵を取り入れ、日々の養生を意識することで、これらの不調を和らげ、快適に過ごすことができます。
湿邪を排出する食事、体を冷やさず、湿気を避ける生活習慣、そして不調を改善するツボ押し。これらを毎日の生活に取り入れることで、体内の巡りが良くなり、心も体も軽くなるのを実感できるはずです。
梅雨の時期を乗り越え、来る日本の暑い夏を元気に迎えるために、今日からできる養生を始めてみませんか? きっと、心身ともに健やかな毎日を送るための大きな一歩となるでしょう。
根本から治していくために
こきあ相談薬店ではお越しいただいた際に、お客様の生活スタイルや食事の摂り方などを詳しくお聞きし、それぞれお一人お一人に適した漢方薬、漢方食品、サプリメントなどをご提案すると同時に、その方に合った生活や食事の養生法をお伝えしています。
体調というものは一度正のスパイラルに入ると、どんどん良くなっていくものです。今現在、負のスパイラルに陥っているものを、正のスパイラルにもっていくことをサポートするのが我々がおすすめする物とアドバイスである思っていただければよいです。
これらを決め、始められるのはあくまでもお客様ご本人です。こきあ相談薬店が出来ることはそれを後方支援することです。
こきあ相談薬店へは下記の方法でご連絡いただけます。ご予約は公式ラインからご連絡いただくのが確実です。
お電話(06-7897-7116)、メール(kochia.yakuten@gmail.com)、公式ライン、ホームページのお問い合わせ欄https://kochia-yakuten.com/contact/、インスタグラムのDMで承ります。
このブログはこきあ相談薬店の薬剤師 芳田がお届けしました。最後までお読みいただきましてありがとうございました。

✿❀こきあ相談薬店の基本情報❀✿
住所:〒564-0011 大阪府吹田市岸部南1丁目25-15
電話番号:06-7897-7116
FAX番号:06-7897-7116
メールアドレス:kochia.yakuten@gmail.com
営業時間:月・火・木・金→9:30~18:30
水・土→9:30~13:30
日・祝→お休み
ホームページ:

Google:

ブログ:

✿❀ご相談のご予約方法✿❀
お電話(06-7897-7116)、メール(kochia.yakuten@gmail.com)、公式ライン、ホームページのお問い合わせ欄https://kochia-yakuten.com/contact/、インスタグラムのDMで承ります。
お気軽にご連絡ください。
インスタグラム https://www.instagram.com/kokia.yakuten?igsh=MWx3cmp4YnA4ejk2MQ%3D%3D&utm_source=qr

公式ライン https://lin.ee/8ukzuc4

✿❀オンラインショップもございます✿❀

全国発送いたします。