春は、進学や就職といった環境の変化に加え、低気圧と高気圧が交互に訪れ、気温が不安定になりやすい季節です。
周囲がお花見や春のイベントで賑わう中、自分だけが取り残されたように感じ、特にゴールデンウィークが明けた頃に気分が沈んでしまう方も少なくありません。

ぞくに言われる「五月病」、最近では「春バテ」という言葉もあるようです。

本日はそんな春に起こりやすい心の揺らぎとその対策についてお話します。

春に心が不安定になりやすい理由

脳内のやる気物質であるドーパミンと、心の安定に関わるセロトニンは、冬の間に日照時間が短くなることや活動量が減ることで、これらの合成が少なくなり不足しがちになる傾向があります。
また、冬の間に十分な材料となる栄養素が不足していたり、生活リズムが乱れていたりすると、春になって心身の活動量が増えるにつれて脳内の神経伝達物質の生成が追いつかず、不足しやすくなりがちです。その結果気候や環境の変化に心がついていけず、バランスを崩しやすくなります。

脳内の元気物質、ドーパミン

  • 快感や意欲、学習、運動機能など、私たちの心と体の様々な活動に深く関わっている重要な物質です。「快感ホルモン」や「意欲ホルモン」とも呼ばれます。
  • やる気、元気、明るさ、楽しさ、ワクワク感を司る元気物質であるドーパミンは、アミノ酸の一種であるチロシンから合成されます。

ドーパミンが不足すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • やる気が出ない、無気力
  • 喜びや楽しみを感じにくい
  • 集中力や注意力の低下
  • 運動能力の低下、動作が遅くなる
  • 感情の起伏が激しくなる
  • 依存症になりやすい(代償行為でドーパミンを得ようとするため)

ドーパミンを増やすためには、以下のような生活習慣を心がけることが大切です。

  • バランスの取れた食事: ドーパミンの材料となるアミノ酸のチロシンやフェニルアラニン、合成に必要な鉄分、ビタミンB群などが不足すると、ドーパミンが十分に作られませんので、これらを含む食品を積極的に摂る必要があります。ドーパミンの材料となるチロシンやフェニルアラニンを多く含む食品(大豆製品、乳製品、肉類、魚介類など)や、合成に必要な栄養素を積極的に摂りましょう。
  • 適度な運動: 運動は脳内のドーパミン分泌を促すことが知られています。特に、達成感を得られるような運動が効果的です。
  • 目標設定と達成: 小さな目標でも良いので設定し、達成感を味わうことでドーパミンが分泌されます。
  • 十分な睡眠: 質の高い睡眠を確保することは、ドーパミンの正常な分泌に不可欠です。
  • ストレス管理: 自分に合った方法でストレスを解消し、溜め込まないようにしましょう。
  • 新しい経験や挑戦: 新しいことに挑戦したり、新鮮な経験をしたりすることも、脳を刺激しドーパミンの分泌を促します。
  • 感謝の気持ちを持つ: 日常の小さなことにも感謝することで、ポジティブな感情が高まり、ドーパミン分泌につながることがあります。

脳内の指揮者、セロトニン

  • 感情の安定や幸福感、意欲、睡眠など、人間の心と体の様々な機能に深く関わっていることから、「幸せホルモン」とも呼ばれます。不安や落ち込みを防ぐセロトニンは、アミノ酸のトリプトファンから合成されます。

セロトニンが不足すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • 気分の落ち込み、憂うつ感
  • 不安、イライラ
  • 不眠
  • 食欲不振または過食
  • 集中力の低下
  • 疲労感
  • 慢性的な痛み

セロトニンを増やすためには、以下のような生活習慣を心がけることが大切です。

  • バランスの取れた食事:セロトニンの材料となる必須アミノ酸のトリプトファンや、合成に必要なビタミンB6、鉄分などが不足すると、セロトニンが十分に作られませんので、これらを含む食品を積極的に摂る必要があります。 トリプトファンを多く含む食品(大豆製品、乳製品、ナッツ類、赤身の魚など)や、セロトニン合成に必要な栄養素を積極的に摂りましょう。
  • 適度な運動: ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどのリズム運動は、セロトニンの分泌を促します。
  • 日光浴: 朝に日光を浴びることで、セロトニンの分泌が活性化されます。
  • 質の高い睡眠: 規則正しい睡眠時間を確保し、質の高い睡眠を心がけましょう。
  • ストレス管理: 瞑想、深呼吸、趣味など、自分に合った方法でストレスを解消しましょう。
  • 腸内環境を整える: 発酵食品や食物繊維を積極的に摂取し、腸内環境を整えましょう。
  • よく噛んで食べる: 咀嚼は脳を活性化させ、セロトニンの分泌を促すと言われています。

ドーパミン、セロトニンを増やすのに、どちらも基本となることは規則正しい生活とバランスの取れた食事、質の良い睡眠と適度な運動になります。

脳内のドーパミンやセロトニンを減らしてしまう食品

  • トランス脂肪酸、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸(油の摂りすぎ): これらの油は酸化しやすく、腸内の悪玉菌を増やし、炎症物質を生成します。これらの炎症物質は、セロトニンやドーパミンの生成を妨げ、神経を傷つけてしまう可能性があります。
  • 乳製品: 乳製品は、トリプトファン(セロトニンの前駆体)を含む食品であり、一般的にはセロトニン生成に必要な栄養源として認識されています。ただし、特定の条件下や過剰摂取においては、必ずしも良い影響ばかりではない可能性も指摘されています。
  • 甘いもの: 神経の炎症を引き起こし、血管や脳細胞の老化を促進する可能性があります。また、血糖値スパイク後の急激な低下が気分の変動を引き起こす可能性、夜間の高血糖からの低血糖は睡眠の質を低下させる可能性も考えられます。

これらの食品は、少量、あるいは健康な状態で適度な量を摂っていれば問題は起こりませんが、鬱傾向の時や体調不良の時には減らす、または摂らないようにされるといいのではないでしょうか。

摂取量・質に気を付けてほしい食べ物

1. 油(特に精製された植物油、トランス脂肪酸が多い油)

現代の日本人は1960年代に比べると約50倍もの油を摂っていると言われます。体内の炎症を抑える効果のあるオメガ3系の油ですら酸化しやすい油です。

  • 炎症の促進: リノール酸を多く含む精製された植物油は、体内で炎症を引き起こす可能性のあるアラキドン酸に変換されやすいと考えられています。ただし、それだけで直接的に炎症に繋がるわけではなく、他の要因とのバランスとの兼ね合いや、個人差があるようです。
  • 酸化ストレス: 高温で調理された油や、酸化しやすい油は、体内で活性酸素を増やし、酸化ストレスの原因となる可能性があります。
  • トランス脂肪酸: マーガリン、ショートニングなどに含まれるトランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすため、心血管疾患のリスクを高めることが知られています。
  • 高カロリー: 油は少量でもカロリーが高いため、過剰摂取は肥満につながりやすいです。

2. 乳製品(特に牛乳、加工された乳製品)

  • 乳糖不耐症: 日本人を含むアジア人には乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が少ない人が多く、乳製品を摂取すると消化不良を起こし、下痢や腹痛などの原因になることがあります。
  • カゼイン: 牛乳に含まれるカゼインというタンパク質が、人によってはアレルギー反応を引き起こしたり、炎症の原因になったりする可能性があります。
  • 飽和脂肪酸: 乳製品には飽和脂肪酸が多く含まれるものがあり、過剰摂取は悪玉コレステロールを増やし、心血管疾患のリスクを高める可能性があります。
  • ホルモン: 牛乳には自然由来のホルモンが含まれており、これが体内のホルモンバランスに影響を与える可能性が指摘されています。

3. 小麦(特に精製された小麦、グルテン)

  • グルテン: 小麦に含まれるグルテンは、セリアック病や非セリアック・グルテン過敏症の人にとって、腸の炎症や消化不良、様々な体調不良の原因となります。
  • 血糖値の急上昇: 精製された小麦製品(白パン、うどんなど)は、血糖値を急激に上昇させやすく、インスリン抵抗性や糖尿病のリスクを高める可能性があります。
  • アミロペクチンA: 小麦に含まれるアミロペクチンAは、血糖値を上昇させる作用が強いと言われています。
  • 腸内環境の悪化: グルテンが腸の粘膜に付着し、腸内環境を悪化させる可能性が指摘されています。

4. 白砂糖(精製された砂糖)異性化糖

  • 血糖値の急上昇と乱高下: 白砂糖・異性化糖は吸収が早く、血糖値を急激に上昇させ、その後急降下させるため、血糖値の乱れを引き起こしやすく、糖尿病のリスクを高める可能性があります。
  • 肥満: 高カロリーでありながら栄養価が低いため、「空の栄養素」と呼ばれ、過剰摂取は肥満につながりやすいです。
  • 中毒性: 甘味は脳の報酬系を刺激するため、依存性が生じやすく、過剰摂取につながることがあります。
  • 虫歯: 口腔内の細菌が砂糖を分解して酸を作り出し、歯を溶かすため、虫歯の原因となります。
  • その他の健康リスク: 炎症の促進、免疫機能の低下、生活習慣病のリスク増加などが指摘されています。

※異性化糖とはトウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモなどに含まれるデンプンを原料として作られる液状の糖のことで、砂糖に比べて、後味がすっきりとした甘さを持つと言われており、冷たい食品や飲料に使用すると、より甘く感じられます。
砂糖に比べて安価に製造でき、粘度が低く、液体であるため、食品製造の際に扱いやすいという利点があるため、清涼飲料水、アイスクリーム、ゼリーなどの冷菓、調味料(たれ、ドレッシングなど)、パン、缶詰など、幅広い食品に甘味料として使用されています。食品の原材料表示には、「ブドウ糖果糖液糖」「果糖ブドウ糖液糖」「高果糖液糖」などと記載されています。

「油、乳製品、小麦、白砂糖」は一部で「4毒」と呼ばれることがあります。しかし、重要なのは、これらの食品を完全に避けるべきということではなく、摂取量や質、そして自身の体質に合わせて賢く付き合うということです。

例えば、油であれば、魚などに含まれる油などを選び、オリーブオイルなどは良質な物を適量摂取すること、乳製品であれば、発酵食品を選んだり、自身の体に合ったものを選ぶこと、小麦であれば、全粒粉を選ぶこと、白砂糖・異性化糖であれば、摂取量を意識的に減らし、未精製の甘味料を取り入れるなどの工夫が考えられます。

春の心の不調への対策

  • 和食中心の食事: ドーパミンやセロトニンの材料となる栄養素が豊富に含まれています。
  • 日光浴: セロトニンの生成を促します。
  • リズム運動: 早足ウォーキングやラジオ体操、音楽に合わせて体を動かすなどが効果的です。
  • 心の疲れへのケア: 規則正しい生活、こまめなリフレッシュを心掛けましょう。
  • 専門機関にかかる:症状がなかなか改善しなかったり酷くなるようでしたら専門機関にかかられることをお勧めします。
  • 核酸ホスファチジルセリン製剤:健康食品なども補助的に取り入れるのも良いでしょう。

春の心の揺らぎを感じたら、食事や運動、生活習慣を見直し、心身ともに健やかな毎日を送りましょう。

根本から治していくために

こきあ相談薬店ではお越しいただいた際に、お客様の生活スタイルや食事の摂り方などを詳しくお聞きし、それぞれお一人お一人に適した漢方薬、漢方食品、サプリメントなどをご提案すると同時に、その方に合った生活や食事の養生法をお伝えしています。

体調というものは一度正のスパイラルに入ると、どんどん良くなっていくものです。今現在、負のスパイラルに陥っているものを、正のスパイラルにもっていくことをサポートするのが我々がおすすめする物とアドバイスである思っていただければよいです。

これらを決め、始められるのはあくまでもお客様ご本人です。こきあ相談薬店が出来ることはそれを後方支援することです。

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