このブログは、酷い肌荒れに悩んでおられるお客様のお話を聞かせていただいたことから、最近増えてきていると言われているラノリンアレルギーについてまとめたものです。
敏感肌用の化粧品、病院でもらった塗り薬さえ合わなくなり、いったいどうすればいいのか途方に暮れておられた時に、当店にご相談に来てくださいました。
実際に敏感肌用の化粧品すら合わないといわれる方は少なからずおられるようです。当店でも同じようなお悩みの方は他にもおられます。
このブログが、合う化粧品がないと困っておられる方、酷い肌荒れをどうすればいいのか途方に暮れている方に少しでもお役に立つことを願っています。

目次
実はラノリンは敏感肌用化粧品にも使われている
ラノリンとは?
ラノリンについて簡単に説明します。ラノリンは、羊毛から採取される天然の脂質(ワックス)です。羊が雨や乾燥から身を守るために分泌するもので、別名「羊毛脂」とも呼ばれます。
ラノリンは、優れた保湿性とエモリエント効果(皮膚を柔らかくする作用)を持つため、古くから化粧品、医薬品、スキンケア製品など幅広い製品に配合されてきました。例えば、リップクリーム、ハンドクリーム、乳液、保湿剤、赤ちゃん用のおむつかぶれ用クリーム、軟膏など、非常に多くの製品に含まれています。
ラノリンは、主に以下のような成分で構成されています。
- コレステロールエステル:約90%
- コレステロール(遊離コレステロール):約4%
- 脂肪アルコール(ラノリンアルコール):約4%
- 遊離脂肪酸:約2%
- その他、微量の水や不純物
これらは単一の化合物ではなく、数多くの異なる脂肪酸やアルコールが複雑に結合したエステルの混合物であり、その組成は羊の種類、飼育環境、抽出・精製方法によっても微妙に異なります。
ラノリンは、羊毛から採取される天然由来の複雑な混合物であり、その複雑な化学構造を完全に化学合成で再現することは、現在の技術では非常に困難であり、コスト的にも現実的ではありません。つまり、ラノリンは天然由来の物しか存在しないということです。
代替成分と模倣品
化学合成でラノリン自体を作る代わりに、化粧品業界ではラノリンが持つ機能(保湿性、乳化性、エモリエント性)を模倣した合成成分や植物由来の代替成分が開発・利用されています。
例えば、
- 合成ワックス(例:マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックスなど)
- 合成エステル(例:イソプロピルミリステート、オクチルドデカノールなど)
- シリコーンオイル(例:ジメチコンなど)
- 植物由来の脂質(例:シアバター、ホホバ油、スクワラン、ワセリンなど)
などが、ラノリンの代替として使用されることがあります。
したがって、化粧品や医薬品の成分として「ラノリン」と記載されている場合、それは羊毛由来の天然成分であり、化学合成されたものではありません。
ラノリンアレルギーとは?
ラノリンアレルギーは、ラノリンまたはラノリンの成分に対して体が過剰な免疫反応を起こす、アレルギー性接触皮膚炎の一種です。これは、ラノリンが皮膚に触れることで、アレルギー反応が生じる状態を指します。
ラノリン自体は比較的安全な成分と考えられていますが、人によってはアレルゲンとなることがあります。特に、もともと皮膚が敏感な方、アトピー性皮膚炎のある方、手荒れがひどい方などは、皮膚のバリア機能が低下しているため、アレルゲンが侵入しやすく、アレルギーを発症しやすい傾向があります。
症状
ラノリンアレルギーの主な症状は、ラノリンが接触した部位に現れる、いわば「かぶれ」です。具体的な症状としては以下のようなものがあります。
- 紅斑(赤み):接触した部位が赤くなります。
- かゆみ:非常に強いかゆみを伴うことが多いです。
- 丘疹(ぶつぶつ):小さな赤いぶつぶつができます。
- 水疱(水ぶくれ):ひどい場合は水ぶくれができることもあります。
- びらん・ただれ:水ぶくれが破れると、皮膚がただれたり、ジュクジュクしたりすることがあります。
- 落屑(皮むけ):症状が治まる過程で皮膚が乾燥し、むけることがあります。
- 乾燥・ひび割れ:慢性化すると、皮膚が厚くなり、乾燥してひび割れることもあります。
これらの症状は、ラノリンに接触してから数時間~数日後に現れることが一般的です。
診断
ラノリンアレルギーの診断は、主に以下の方法で行われます。
- 問診:どのような製品を使用して症状が出たのか、症状の経過などを詳しく問診されます。
- 視診:皮膚の状態を直接観察します。
- パッチテスト:これが最も重要な診断方法です。ラノリンを含む試薬を背中などの皮膚に貼り付け、48時間後、72時間後、場合によっては1週間後などに皮膚の反応を観察します。赤みや腫れ、ぶつぶつなどの反応があれば、ラノリンアレルギーの可能性が高いと判断されます。
治療
ラノリンアレルギーの治療は、主に以下のステップで行われます。
- アレルゲンの回避:最も重要です。ラノリンが含まれる製品の使用を完全に中止することです。これが徹底できれば、症状は改善に向かいます。
使用している化粧品や医薬品の成分表示をよく確認し、ラノリン(Lanolin(ラノリン)、Lanolin Alcohol(ラノリンアルコール), Acetylated Lanolin(アセチル化ラノリン)、Lanolin Fatty Acids(ラノリン脂肪酸)など、ラノリン関連の表示が含まれていないものを選ぶようにします。 - 対症療法:
- ステロイド外用薬:皮膚の炎症やかゆみを抑えるために使用されます。症状の程度に応じて、医師が適切な強さのステロイド剤を処方します。
- 抗ヒスタミン薬の内服:かゆみが強い場合に、かゆみを抑えるために処方されることがあります。
- 保湿剤:炎症が治まった後の皮膚のバリア機能回復のために、ラノリンフリーの保湿剤を使用します。
- スキンケアの見直し:皮膚のバリア機能を正常に保つための、適切なスキンケア指導を行います。
予防
ラノリンアレルギーの予防は、基本的にラノリンとの接触を避けることです。
- 成分表示の確認:新しい化粧品や医薬品を使用する際は、必ず成分表示を確認し、ラノリンが含まれていないかチェックしましょう。
- パッチテストの実施:敏感肌の方やアレルギーが心配な方は、腕の内側など目立たない場所でパッチテストを行ってから本格的に使用することをお勧めします。
- 代替品の選択:ラノリンの代わりに、ワセリンやシアバター、セラミド配合の製品など、アレルギーのリスクが低い代替品を選ぶようにしましょう。
コレステロールから作られる化粧品に配合される成分
コレステロール自体が化粧品成分として直接配合されることもありますが、コレステロールを原料として、あるいはコレステロールと関連の深い構造を持つ「コレステロール誘導体」や「セラミド」といった成分が化粧品によく配合されます。
実はこれにはラノリン由来の物もあります。
具体的には、以下のような成分が挙げられます。
- コレステロール (Cholesterol):
- 皮膚に存在する天然の保湿成分であり、セラミドや脂肪酸とともに細胞間脂質を構成し、肌のバリア機能を維持する上で非常に重要な役割を果たします。
- 化粧品では、保湿剤、エモリエント剤として配合されます。
- コレステロール誘導体:
- コレステロールの構造を一部変化させたもので、コレステロールと同様の、またはそれ以上の保湿効果や安定性を持つように開発された成分です。
- イソステアリン酸コレステリル (Cholesteryl Isostearate): コレステロールとイソステアリン酸のエステル。保湿効果が高く、エモリエント効果も期待できます。
- マカデミアナッツ脂肪酸コレステリル (Cholesteryl Macadamiate): マカデミアナッツ脂肪酸とコレステロールのエステル。肌なじみが良く、保湿効果に優れます。
- (羊毛/ロジン酸)コレステリル (Cholesteryl Lanolate/Rosinate): ラノリン由来のコレステロール誘導体。高い保湿力とエモリエント効果を持ちます。
- コレステロール脂肪酸エステル類:コレステロールに様々な脂肪酸が結合したもの。それぞれ特徴がありますが、一般的に皮膚との親和性が高く、保湿・エモリエント効果を持ちます。
- セラミド (Ceramide):
- 厳密にはコレステロール自体から作られるわけではありませんが、コレステロールと共に皮膚の細胞間脂質を構成する主要な成分であり、コレステロール誘導体と同様に皮膚のバリア機能と保湿に不可欠な成分です。
- 近年では、バイオ技術で生成されるものが主流ですが、植物由来のものや、コレステロールと合わせて配合されることで相乗効果が期待されることから、関連成分として挙げられます。
- 化粧品には、セラミドAP、セラミドNP、セラミドEOPなど、様々な種類のセラミドが配合されます。
これらの成分は、主に以下の目的で配合されます。
- 保湿効果:皮膚の角質層に存在する細胞間脂質の主要な構成成分であり、水分保持能力を高めます。
- バリア機能の改善:肌の保護膜を強化し、外部刺激から肌を守るバリア機能をサポートします。
- エモリエント効果:肌を柔らかくし、なめらかな感触を与えます。
これらの成分は、特に乾燥肌や敏感肌向けの化粧品、エイジングケア化粧品などに多く配合されています。
コレステロールやセラミドは、もともと私たちの皮膚に存在する生体成分です。そのため、基本的にはアレルギーを起こしにくい「低アレルゲン性」の成分とされています。しかし、以下のような要因でアレルギー反応が生じる可能性も考えられます。
- 不純物の存在:
- 製造過程でごく微量の不純物が混入し、それがアレルゲンとなるケース。
- 天然由来の成分の場合、原料に含まれる微量な他の物質がアレルゲンとなるケース。⇒これがラノリンアレルギーにも関連しています。
- 酸化生成物:
- 成分が酸化することで、アレルゲンとなる物質が生成される可能性。
- 特定の個人差:
- 非常に稀なケースですが、特定の個人の免疫システムが、通常はアレルゲンとならない成分を異物と認識してしまうことがあります。特に、皮膚のバリア機能が著しく低下している(アトピー性皮膚炎が重症など)場合に、通常は侵入しないアレルゲンが皮膚内に侵入しやすくなることがあります。
- 複合アレルギー:
- 製品に配合されている複数の成分の組み合わせや、他のアレルゲンとの交差反応によって症状が出る場合。
症状と診断
アレルギー症状は、ラノリンアレルギーと同様に、接触した部位にかゆみ、赤み、ぶつぶつ、水ぶくれなどの接触皮膚炎の症状が現れます。
皮膚科で行われる化粧品のパッチテスト
皮膚科で行われる化粧品のパッチテストは、アレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)の原因となる物質を特定するための非常に重要な検査です。特に、化粧品が原因と疑われる場合によく実施されます。
パッチテストの一般的な方法と流れ
皮膚科での化粧品のパッチテストは、通常、以下のような流れで進められます。
- 初回診察・問診(検査日):
- 症状や経過、普段使用している化粧品の種類などを詳しく問診します。
- アレルギーが疑われる場合、パッチテストの必要性を判断し、検査内容や注意点について説明があります。
- 重要: 疑わしい化粧品や、アレルギーの原因かもしれないと心当たりのある製品(市販の化粧品、シャンプー、洗顔料、医薬品など)を実際に使用しているものを持参します。市販の製品の場合、そのままの濃度で貼ると刺激が強すぎることもあるため、医師の判断で希釈して使用することもあります。
- パッチテストの実施:
- 通常、背中や上腕の内側など、日常的に濡れにくく、衣類で隠れる部位に実施します。
- 小さな金属製の容器(チャンバー)にテストする化粧品またはその成分を入れ、専用の絆創膏(パッチテスト用テープ)で皮膚に貼り付けます。
- 複数の成分を同時にテストすることが可能です。
- 一般的なアレルゲンをまとめた「パッチテストパネル」というものを使用する場合もありますし、持参した化粧品を直接テストする場合もあります。
- 48時間後(2日目)の来院・判定:
- テストテープを貼ってから48時間後に再び来院します。
- 貼ってあったテープを全て剥がします。
- テープを剥がした直後は圧迫による赤みなどが残っているため、15分~30分程度待ってから、皮膚の反応(赤み、かゆみ、ぶつぶつ、水ぶくれなど)を医師が確認し、判定基準に沿って記録します。
- 72時間後(3日目)の来院・判定:
- テープを剥がした後の24時間後(貼付開始から72時間後)に再び来院し、判定を行います。遅れて反応が出る場合があるため、この時点での判定が重要です。
- 1週間後(必要に応じて)の来院・判定:
- 物質によっては、さらに遅れて反応が出る「遅発性反応」というものがあります。そのため、必要に応じて1週間後にも判定を行うことがあります。
パッチテスト中の注意点
パッチテストは、正しい結果を得るために患者さんの協力が非常に重要です。
- 貼付部位を濡らさない: テープが貼られている間は、シャワーや入浴を避け、貼付部位を濡らさないようにします。検査物質が流れたり、テープが剥がれたりすると正確な判定ができなくなります。
- 汗をかかない・激しい運動を避ける: 汗をかくとテープが剥がれやすくなったり、刺激が強くなったりすることがあります。また、激しい運動もテープが剥がれる原因になります。
- 貼付部位をこすらない・掻かない: かゆみが生じても、貼付部位を掻いたりこすったりしないようにします。
- ステロイドの使用を控える: 検査部位にステロイド外用薬を塗布していたり、内服ステロイドを使用している場合、アレルギー反応が抑制されてしまい、正しい結果が出ないことがあります。検査前に医師に必ず伝えてください。
- 自己判断でテープを剥がさない: 医師の指示があるまで、テープは剥がさないでください。
- 夏季は避ける傾向: 汗をかきやすい6月~9月頃の夏季は、正確な判定が難しいため、原則としてパッチテストを行わない皮膚科が多いです。
費用
パッチテストは、アレルギー性接触皮膚炎の診断に必要な検査であると医師が判断した場合、健康保険が適用されます。 自己負担額は、検査項目数や医療機関によって異なりますが、3割負担で数千円~1万円程度(診察料含む)が目安となります。
注意点・副作用
- 強い反応が出ることがある: 陽性反応が出た場合、かゆみ、赤み、腫れ、水ぶくれなどが強く出ることがあります。まれに色素沈着や瘢痕(傷跡)が残ることもあります。
- テープかぶれ: パッチテストに使用する絆創膏自体にかぶれることもあります。
- 偽陰性・偽陽性:
- 偽陰性: アレルギーがあっても反応が出ない(アレルゲンの濃度が薄すぎる、反応が遅れるなど)。
- 偽陽性: アレルギーがなくても反応が出る(テープによる刺激など)。
- これらの可能性も考慮し、医師が総合的に判断します。
化粧品によるかぶれが疑われる場合は、自己判断せずに、必ず皮膚科専門医を受診して相談し、適切なパッチテストを受けるようにしてください。
通常のパッチテストでは、患者さん自身が持参した化粧品や、個々の成分を医師がワセリンなどに混ぜて準備し、それを小さなカップ(チャンバー)に入れて貼付します。しかし、この方法では、準備に手間がかかる、濃度が一定になりにくい、頻度の高いアレルゲンを網羅しにくいといった課題がありました。
そこで開発されたのが「パッチテストパネル」です。
パッチテストパネルの特徴
- 既製品で簡便:
- アレルゲンがあらかじめ専用のテープに一定量塗布されており、そのまま皮膚に貼るだけで検査が可能です。
- 医療機関での準備の手間が省け、検査の効率が向上します。
- 標準化されたアレルゲン:
- 各国や地域で、その土地で特にアレルギー反応を起こしやすいとされている代表的なアレルゲンが選定され、パネルに含まれています。
- 日本では、「ジャパニーズスタンダードアレルゲン」というものが日本皮膚免疫アレルギー学会によって選定されており、これを基にした「パッチテストパネル®(S)」(佐藤製薬製)が広く使用されています。
- 複数のアレルゲンを一度に検査:
- 1枚のパネルに複数のアレルゲン(例えば、日本では22種類や24種類)がセットされているため、一度に多くの疑わしい物質をスクリーニングできます。これにより、原因究明の効率が上がります。
- 一般的なものは、2枚のパネルに分かれていて、合計20種類以上のアレルゲンを検査します。
- 保険適用:
- アレルギー性接触皮膚炎の診断に必要と医師が判断した場合、保険が適用されます。
パッチテストパネルに含まれる主なアレルゲン(例:日本の「パッチテストパネル®(S)」の場合)
以下は、「パッチテストパネル®(S)」に含まれる代表的なアレルゲンの一例です。
- 金属:
- 硫酸ニッケル(Nickel sulfate):アクセサリー、ベルトのバックル、硬貨など
- 重クロム酸カリウム(Potassium dichromate):セメント、革製品、染料など
- 塩化コバルト(Cobalt chloride):金属製品、塗料、顔料など
- 金チオ硫酸ナトリウム(Sodium gold thiosulfate):貴金属、歯科用金属など
- 油脂・保湿剤:
- ラノリンアルコール(Lanolin Alcohol):化粧品、外用薬、石鹸、つや出し剤など
- 防腐剤:
- パラベンミックス(Paraben mix):化粧品、医薬品、食品の防腐剤
- ホルムアルデヒド(Formaldehyde):防腐剤、接着剤、繊維加工剤など
- イソチアゾリノンミックス(Isothiazolinone mix):シャンプー、洗剤、塗料など
- 香料:
- 香料ミックス(Fragrance mix):香水、化粧品、石鹸、洗剤など
- ゴム製品成分:
- チウラムミックス(Thiuram mix):ゴム製品(手袋、靴、衣類、医療用具など)
- メルカプトミックス(Mercapto mix):ゴム製品
- 黒色ゴムミックス(Black rubber mix):黒色ゴム製品
- カルバミックス(Carba mix):ゴム製品
- 樹脂・接着剤成分:
- ロジン(Rosin):接着剤、インク、ワックス、化粧品など
- エポキシ樹脂(Epoxy resin):接着剤、塗料、床材など
- ペルーバルサム(Peru Balsam):香料、化粧品、医薬品(軟膏など)
- その他:
- フラジオマイシン硫酸塩(Fradiomycin sulfate):一部の外用抗生物質
- カインミックス(Caine mix):局所麻酔剤
- パラフェニレンジアミン(p-Phenylenediamine):染毛剤、インクなど
- チメロサール(Thimerosal):一部のワクチン、点眼液の防腐剤
これらのアレルゲンは、日常生活で接触する機会が多く、アレルギー性接触皮膚炎の原因として頻繁に特定されるものです。
パッチテストパネルを使用することで、広範囲なスクリーニングが可能となり、患者さんのアレルギー原因物質の特定に大きく貢献しています。
アトピー性皮膚炎患者の増加と皮膚バリア機能の低下
アトピー性皮膚炎の有病率の上昇: 日本を含め、先進国ではアトピー性皮膚炎の患者数が増加傾向にあると言われています。アトピー性皮膚炎の患者は、もともと皮膚のバリア機能が低下しており、外部からのアレルゲンが侵入しやすいため、接触皮膚炎を発症しやすいリスクが高いです。
積極的な保湿ケアの普及: 皮膚の乾燥対策やアトピー性皮膚炎の治療として、保湿剤が広く使用されるようになりました。その中にはラノリンを含む製品も多く、使用頻度や使用量が増えたことで、感作(アレルギーを獲得すること)の機会が増加した可能性があります。
ラノリンの品質と加工法の変化
精製度の問題: 過去には、ラノリンの精製度が低く、不純物がアレルゲンとなっていた時期がありました。1970年代には、ステロイド外用剤に含まれる還元ラノリンによるアレルギーが多数報告されたという情報もあります。
その後、低アレルギー性ラノリンの開発が進み、アレルゲン性が低いとされる精製ラノリンが普及しましたが、依然としてごく微量の不純物や、個人の感作性によってアレルギー反応が出る可能性はあります。
新たな用途と製品への配合: ラノリンは優れた特性を持つため、化粧品だけでなく、医薬品、家庭用品、工業用品など、幅広い分野で利用されています。
製品の種類が増え、接触する機会が多様化することで、アレルギー発症の機会が増えているのかもしれません。
乳児期からの製品使用の増加
赤ちゃんのおむつかぶれ予防や保湿、初乳期の乳頭保護などに、ラノリンを主成分としたクリームが広く使われています。
乳児期は皮膚のバリア機能が未熟であり、このような時期から頻繁にラノリンに接触することで、アレルギーを獲得してしまうリスクが高まる可能性が指摘されています。
診断技術の向上と認識の変化
パッチテストの普及と精度向上により、以前は見逃されていたラノリンアレルギーが正確に診断されるようになった、という側面もあるかもしれません。アレルギー疾患全体の認識が高まり、患者さんが積極的に原因究明を求めるようになったことも影響している可能性があります。
「ナチュラル」志向の化粧品との関連性(間接的要因)
「ナチュラル」や「オーガニック」を謳う化粧品が人気を集めていますが、これらの製品は「天然由来だから肌に優しい」というイメージがある一方で、植物エキスや天然由来成分の中にもアレルゲンとなるものが含まれていることがあります。
直接的にラノリンアレルギーの増加に繋がるわけではありませんが、化粧品全体のアレルギーリスクに対する認識が高まる中で、ラノリンのような天然由来成分のアレルギーも注目されるようになったのかもしれません。
ラノリンアレルギーとわかったら。もしくはそれを疑われたら。
今回ご相談に来られたお客様もこのテストでラノリンアレルギーが判明しました。
ある時から徐々に肌荒れが酷くなってきて、どんなに評判のよい敏感肌用の化粧品を使っても合わず、皮膚科で購入した化粧品すら合わずに、途方にくれて毎日辛い思いをされておられたようです。
もともと色白で肌が弱かった方なのかもわかりませんが、直接のきっかけはどうも、毎日のようにお子さんに塗ってあげていた軟膏のようでした。
つまり、感作が起きてしまったということのようです。感作 とは、体が特定の物質(アレルゲン)に触れた際に、その物質を「異物」として認識し、次に同じ物質が体内に入ってきたときに、その「異物」として認識したものを排除するために、体が素早く反応できるように準備する状態になることです。
まさか自分の肌荒れの原因が自分の子どもに塗っている薬であるとは、普通はゆめゆめ思いませんよね。本当に驚かれたと思います。
このお客様は、現在は当店が取り扱っておりますラノリンが入っていない基礎化粧品を使われて小康状態を保たれています。
今後、状態が少し落ち着いてから、次には同時に内面から肌のバリアを高めていくケアのご提案をしています。
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