よくよくお話をしてみると「私、パニックなんです」や「電車に乗れないんです」と言われる方が、結構な頻度でおられます。

そういう私も何度かパニック発作をおこした経験があります。

しかし、今はなんとかそれを克服し、現在は電車も、エレベーターも、飛行機にも乗れるようになりました。

パニック発作を経験された方の今後の人生の可能性を閉じないためにも、すこしでもお役に立てる情報をお伝えできればとの思いで、本日はパニックについてお伝えしていきます。

もくじ

1.パニック発作って?
2.なぜパニック発作が起こるの?
3.パニック発作とパニック障害はなにが違うの?
4.パニック発作はどんな人が起こしやすいの?
5.パニック発作が起きたら
6.パニック発作を起こさないために
7.パニック発作と東洋医学
8.まとめ

1.パニック発作って?

パニック発作とは、突然、激しい不安や恐怖感に襲われ、動悸や息切れ、めまいなど、様々な身体症状を伴う状態のことです。

パニック発作の特徴

  • 突然性: 何の前触れもなく、突然襲ってくることが特徴です。
  • 短時間: 数分から数十分でピークに達し、その後徐々に落ち着いていきます。
  • 身体症状: 動悸、息切れ、めまい、発汗、震え、胸痛、窒息感など、次のような様々な身体症状が現れます。
  • 心拍数の上昇、動悸: 心臓がバクバクと激しく鼓動する
  • 呼吸困難: 息苦しさ、窒息感
  • めまい、ふらつき: 立ちくらみ、平衡感覚の喪失
  • 発汗: 手足や顔などが汗ばむ
  • 震え: 全身が震える
  • 吐き気、腹痛: 胃が痛む、吐きそうになる
  • 脱力感: 全身がだるい
  • 現実感がなくなる: 周りのものが不自然に感じられる
  • 精神症状: 死ぬのではないか、気が狂ってしまうのではないか、といった強い不安や恐怖感

また、パニック発作が起こると次のように思ってしまう人もあります。

  • 心臓発作を起こしているのではないか
  • 気が狂ってしまうのではないか
  • 自分が制御できない
  • 逃げ出したい

私の場合は、約20年ほど前のある日の通勤電車の中で突然、「息ができない!! 降ろしてください!!」と窒息感とともに心臓が止まりそうな気持ちになり、電車内の人をかき分けてホームに降り立ったのが、最初のパニック発作です。

恐怖感でわけがわからず、小一時間ホームのベンチで号泣しました。そしてその日以来電車に乗ることが怖くなってしまいました。

しかし、よくよく考えると、この発作以前に、観覧車に乗った時に、妙に息苦しくて空気孔に顔を押し当てて、観覧車が1巡するのに耐えたことがあったり、鍾乳洞に入って数メーターで妙に息苦しくなりリタイヤしてしまったり・・・と、今までとは様子が違う異変があったことを思い出しました。

それまでは観覧車に乗った時は普通に景色を楽しんでいましたし、鍾乳洞は細く狭い道も難なく通り抜け、鍾乳洞の奇妙で珍しい景観を満喫していました。ま、ふつうは人生で鍾乳洞など数えるほどしか行くことはありません。私の場合は3度目の鍾乳洞での異変でした。

プチパニック発作とでもいいましょうか・・・

とにもかくにも、この電車での大発作以来しばらくは、電車はもとより、新幹線、飛行機などは想像するだけで無理。エレベーターも怖くて無理。になってしまいました。

それにしても、当時は1時間ほどかけて電車で通勤していましたので、電車に乗らないわけにはいきません。

どうしたかというと、家族に途中まで付き添ってもらいました。(ずいぶん家族には迷惑を掛けました)

そのうちに各駅停車の電車に座ってならば乗れるようになり・・・もう少し時間が経つと、そこそこ人が乗っている普通電車でも、連結部分や出入り口の窓際に顔を押し付けて、風を感じられれば乗れるようになり、1カ月ほどでなんとか一人で通勤ができるようになったものの、結局、その発作を起こしてから2カ月後あたりには、その仕事を辞めてしまいました。

記憶にある限り、大きな発作はその1回ですが、それ以来、突然、動悸と息苦しさに襲われることが度々ありました。その恐怖感といったら・・・。夜、寝ている時や普通にテレビを観ている時にも突然なるのですから・・・。本当に、なぜ突然発作が起きるのか、理由はあったのかもしれませんが、とにかく不思議でした。

あとは、風邪などをひいて鼻が詰まり息がしにくくなったときなどに、ついでのようにプチ発作が起こることがありました。

今現在でも頭の片隅に、常にあの恐怖感はあります。不便です。

2.なぜパニック発作が起こるの?

それでは、なぜ突然パニック発作が起こるのでしょうか・・・

パニック発作が起きる詳しいメカニズムはまだ解明されていませんが、いくつかの要因が考えられています。

  • 脳の神経伝達物質のバランスの乱れ:
    脳内の神経伝達物質は、感情や思考をコントロールする重要な役割を担っています。
    パニック発作では、これらの物質のバランスが崩れ、不安や恐怖感が過剰に高まってしまうと考えられています。
    不安や興奮に関わる神経伝達物質のバランスが崩れることで、パニック発作が起こりやすくなると考えられています。
  • パニック発作が起こる際に、主に乱れると考えられている脳内物質はいくつかあります。

    ①セロトニン: 精神を安定させる働きがあり、不足すると不安感が高まる可能性があります。
    ②ノルアドレナリン: 興奮やストレス反応に関わる物質で、過剰になると動悸や呼吸が速くなるなどの症状を引き起こす可能性があります。
    ③GABA: 脳の興奮を抑える働きがあり、不足すると不安や緊張感が高まる可能性があります。  


    これらの物質のバランスが崩れることで、パニック発作のような強い不安や恐怖感が生じると考えられています。

    セロトニンの不足: 不安感、抑うつ気分、睡眠障害
    ノルアドレナリンの過剰: 動悸、息切れ、発汗、震え
    GABAの不足: 不安、緊張、不眠

    これらの症状が複合的に現れることで、パニック発作のような強い不安や恐怖感が生じると考えられています。
  • なぜこれらの物質のバランスが崩れるのか、その詳しいメカニズムは、まだ解明されていない部分も多くあります。
    遺伝的な要因、ストレス、生活習慣、性格など、様々な要因が複雑に絡み合ってパニック発作を引き起こしていると考えられています。
  • 自律神経の過剰反応:
    自律神経は、私たちの体の機能を無意識にコントロールしています。パニック発作では、自律神経が過剰に反応し、動悸や呼吸が速くなるなどの身体症状を引き起こします。
  • 遺伝的な要因:
    家族にパニック障害の人がいる場合、発症のリスクが高まる可能性があります。
  • ストレス:
    仕事や人間関係など、大きなストレスやトラウマが引き金となることがあります。
  • 性格的な要因:
    完璧主義や責任感が強く、不安になりやすい性格の人も発症しやすい傾向があります。
  • 特定の状況:
    人混み、閉鎖空間、高所など、特定の状況を恐れるようになることで、その状況に置かれるとパニック発作が起こりやすくなります
    • 学習による条件付け:
      一度パニック発作を経験すると、その時の状況や場所を危険だと学習してしまい、同じような状況に置かれると再びパニック発作を起こしやすくなることがあります。

  • 私の場合は、脳内物質のバランスの乱れは(見える場所でないので)よくわかりませんが、当時は間違いなく大きなストレスを抱えていましたし、当時の私は典型的なタイプA(生真面目、責任感が強い、完璧主義など)だったので、パニック発作を起こす素因は十分備えていたんだと思われます。



3.パニック発作とパニック障害はなにが違うの?

パニック発作とパニック障害は、よく混同されがちですが、明確な違いがあります。

パニック発作

  • 突然、激しい恐怖や不快感が数分以内にピークに達し、その後数十分かけて落ち着く一過性の状態です。
  • 動悸、息切れ、めまい、震え、窒息感など、様々な身体症状を伴います。
  • 誰でも経験する可能性があり、必ずしも病気を意味するわけではありません。
  • 例えば、大きなプレゼンテーションの前や、危険な状況に遭遇した時などに起こることがあります。

パニック障害

  • パニック発作を繰り返し経験する:パニック発作が繰り返し起こり、その発作が起こるのではないかと過度に心配する状態を指します。その恐怖から日常生活に支障が出てきます。
  • 予期不安: 次にいつパニック発作が起こるかという不安に常に悩まされ、パニック発作が起こる可能性のある場所や状況を避けようとする行動が見られ、日常生活に支障をきたすことがあります。
  • 広場恐怖:パニック発作が起きるかもしれないという恐怖から、人混みや閉鎖空間など、逃げられない場所を避けるようになります。

まとめると、パニック発作は一つの出来事、パニック障害は病気という位置づけになります。

パニック発作とパニック障害との見分け方

  • 頻度: パニック発作が頻繁に繰り返される場合は、パニック障害の可能性が高いです。
  • 不安: パニック発作が起こるのではないかと、常に不安を感じている場合は、パニック障害の可能性が高いです。
  • 回避行動: パニック発作が起こる可能性のある場所や状況を避ける場合は、パニック障害の可能性が高いです。

もし、パニック発作のような症状が頻繁に起こったり、日常生活に支障が出ている場合は、一人で悩まずに、専門機関を受診することをおすすめします。適切な診断と治療を受けることで、症状は改善します。

再び、私の場合はといいますと、仕事柄、パニックという事柄が何かということを知っていましたので、専門の医療機関にかかることはありませんでしたが、前述のことを鑑みますと、仕事を辞めざるをえないほど日常生活に支障をきたしていたことから、パニック障害にあてはまります。

4.パニック障害はどんな人がなりやすいの?

第2章でもすこし述べましたが、この章ではパニック障害になりやすい人の特徴をお話します。

パニック障害は、誰でもなる可能性がある病気ですが、特定の性格や状況にある方がなりやすい傾向があります。

パニック障害になりやすい人の特徴

  • 完璧主義で真面目な人: 何事にも完璧を求め、責任感が強い人は、高いストレスを抱え込みやすく、パニック障害になりやすい傾向があります。何事にも責任感を持って取り組むため、常に高い目標を設定し、それが達成できないことに対して強いストレスを感じやすいです。
  • 感受性が高く、周りのことを気にしやすい人: 人の目を気にしたり、周りの状況に敏感な人は、些細な出来事でも大きなストレスを感じてしまうことがあります。つい他人の評価を気にしてしまい、常に緊張状態にあるため、心身に負担がかかりやすいです。
  • 不安感が強い人: 元々不安を感じやすい人は、パニック発作を起こしやすく、それがきっかけでパニック障害になることがあります。
  • ストレスに弱い人: 仕事や人間関係など、強いストレスにさらされ、それをうまく解消できなでいる人は、パニック障害を発症しやすいと言われています。
  • 過去にトラウマを経験した人: 過去の辛い経験が、パニック発作の引き金になることがあります。

パニック障害をひき起こしやすい状況

  • 過度のストレス: 仕事の忙しさや仕事のプレッシャー、人間関係のトラブル、経済的な問題、大きな病気などの強いストレスが発症リスクを高めます。
  • 睡眠不足: 睡眠不足は、心身に大きな負担をかけ、パニック発作を引き起こしやすくなります。
  • 不規則な生活: 食生活の乱れや運動不足なども、パニック障害の発症に影響を与える可能性があります。
  • 過労: 長時間の労働や不規則な生活は、心身を疲れさせ、パニック発作のリスクを高めます。
  • 特定の状況: 人混み、閉鎖空間、高所など、特定の状況を恐れるようになることで、その状況に置かれるとパニック発作が起こりやすくなります。

5.パニック発作が起きたら

発作が起きた時の対処法は人によって効果が異なるため、一概にこれが正解とは言えません。しかし、一般的に効果があると言われている方法をいくつかご紹介します。

  • 安全な場所に移動する: 人混みから離れ、落ち着いて座れる場所を探しましょう。
  • 目を閉じる: 目を閉じ、ゆっくりと呼吸に集中します。
  • 深呼吸をする: 数秒かけてゆっくり息を吸い込み、数秒かけてゆっくり吐き出すことを繰り返しましょう。リズムを作ると効果的です。
  • 現実を認識する: 周りの状況に注意を向け、今、何が起きているのかを意識しましょう。「これはパニック発作で、すぐに治まる」と自分に言い聞かせることも効果的です。今、自分がいる場所や、今自分が着ている服など、五感を使いながら現実的なことに意識を向けます。
  • リラックスできることをする: 好きな音楽を聴いたり、アロマオイルの香りを嗅いだりするなど、自分に合ったリラックス方法を試してみましょう。
  • こぶしを握ったり開いたりする: 全身が緊張していると感じたら、こぶしを握ったり開いたりする動作を繰り返すことで、緊張をほぐすことができます。
  • 周囲に助けを求める: 一人で抱え込まず、家族や友人、信頼できる人に状況を説明しましょう。話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になることがあります。

再び私の場合です。

まず一番大きな発作が起こった時には電車の中だったこともあり、電車から飛び降りた後は駅のベンチで小1時間ほど泣きながら深呼吸を繰り返しました。

その後テレビを見ている時や、寝ている間に急に発作の兆しがあった時は、ひとまずベランダに出て外の空気を吸うようにしました。

その後、テレビでパニック障害経験者が体験談として、発作が起きた時に、「こんなことでは死なないから落ち着いて!」と自分に言い聞かせています!ということを言っておられたのを見て、それを採用。

上記での「これはパニック発作だからすぐに治まる」と言い聞かせることと同じことですね。

案外これが非常に効果的です。

そして、おそらく功を奏したのがヨガを習ったこと。ヨガそのものよりも、ヨガにより深い呼吸法を覚えたことと言ったほうがいいかもわかりません。

しかし、ヨガであれば何でもいいか?!というわけでもなく、私も数人のヨガの先生に習いましたが、先生によっては全くレッスンの後の爽快感が違いましたので、先生との相性はとても大切だと思います。そしてヨガは数年してレッスンを辞めてしまいましたが、身についた呼吸法はとても役に立っています。

自律神経を整えるのには呼吸法が良いと、世間一般でよくいわれていますが、実体験でもそのように思います。

6.パニック発作を起こさないために

パニック発作を起こさないために、日常的に行うとよいことをいくつかご紹介します。

生活習慣の見直し

  • 規則正しい生活: 睡眠不足や不規則な生活は、パニック発作を誘発する可能性があります。質の高い睡眠を心がけ、規則正しい生活リズムを送りましょう。また、睡眠時間を確保し、起床時間を決めて生活リズムを整えることで、自律神経のバランスが安定しやすくなります。
  • バランスの取れた食事: 特定の食品がパニック発作を直接引き起こすわけではありませんが、栄養バランスの偏りは体に負担をかけ、不安感を増幅させる可能性があります。三食バランスの取れた食事を心がけ、特にビタミンB群やマグネシウムなどの栄養素を意識して摂取しましょう。
  • 適度な運動: 運動は心身の健康に良い影響を与え、ストレス軽減にも役立ちます。ただし、過度な運動はかえって体に負担をかけるため、無理のない範囲で行いましょう。ウォーキングやヨガなど、無理のない範囲で体を動かすことは、ストレス解消やリラックス効果が期待できます。
  • リラックス法の導入: 前章でも書いていますが、深呼吸、ヨガ、瞑想などのリラックス法は、心身を落ち着かせ、不安感を軽減する効果が期待できます。自分に合った方法を見つけて、習慣化しましょう。
  • カフェインやアルコールの控えめ: カフェインやアルコールは、神経を興奮させたり、一時的に不安感を高めたりしてパニック発作を誘発する可能性があります。過度な摂取は控えましょう。
  • 十分な水分補給: 脱水状態は、不安感を増大させることがあります。
  • 日光を浴びる: 日光を浴びることで、セロトニンという神経伝達物質の分泌が促され、気分が安定することが期待できます。
  • 時間管理: スケジュールを立て、時間に追われるような状況を避け、余裕を持った生活を送るようにしましょう。

ストレス対策

  • ストレス源の特定と回避: パニック発作を引き起こす可能性のあるストレス源を特定し、できるだけ避けるようにしましょう。
  • 人間関係の見直し: 人間関係の悩みがストレスになっている場合は、信頼できる人に相談したり、状況を改善するための行動を起こしたりしましょう。
  • リラックスできる時間の確保: 好きな音楽を聴いたり、読書をしたり、お風呂にゆっくりつかるなど、自分だけのリフレッシュできる時間を持つことが大切です。
  • 趣味: 好きなこと、楽しいことに時間を使うようにしましょう。
  • 瞑想: 深呼吸や瞑想を取り入れることで、リラックス効果が期待できます。
  • お風呂: 温かいお風呂にゆっくりと浸かり、体を温めることも効果的です
  • 深呼吸: パニック発作を感じ始めたら、深呼吸を意識的に行うことで、落ち着きを取り戻すことができます。
  • 悩みを一人で抱え込まない: 家族や友人、信頼できる人に相談したり、専門家(カウンセラーなど)に話を聞いてもらうことも有効です。
  • 情報収集: 病気について正しく理解することで、不安感が軽減されることがあります。
  • 完璧主義を捨てる: 何事も完璧にこなそうとせず、ある程度の妥協も必要です。

認知行動療法

  • 認知行動療法: 自分の考え方や行動を客観的に見直し、不安な思考パターンを修正する治療法です。専門家の指導のもと、効果的に取り組むことができます。

薬物療法

  • 薬物療法: パニック発作が日常生活に支障をきたす場合は、医師の診断のもと、抗不安薬などの薬物療法が検討されます。その場合は医師の指示なしに、勝手に薬の服用を中止したり、治療を中断したりすることは危険です。必ず医師に相談しましょう。

これらの情報はあくまでも一般的なものです。ご自身の症状や状況に合わせて、適切な対処法を選ぶことが大切です。

引き続き私の場合です。

認知行動療法とまではいかないですが、自分でも、どのようなシチュエーションが苦手なのか?!反対にどういう場面であれば大丈夫なのかを、普段から把握しておくことが大切だと思います。

私の場合は、自分の家族であったり信頼がおける人と一緒であれば、特急電車やエレベーターに乗ることが出来ました。時間は年単位でかかりましたが、一緒であれば飛行機にも乗れました。要するに精神的安心感があれば大丈夫であるということがわかっていました。

次にガラス張りのエレベーターであれば不安感が減ることに気が付いてからは、可能な限りそのようなエレベーターに乗るようにしています。(よって、どの建物のどのエレベーターがガラス張りかは把握しています。)

空気の流れを感じることが出来ると窒息感が減るので、飛行機などに乗るときは空気孔をマックスにして、自分の顔に向けています。

そして、鼻が詰まると呼吸がしにくくなり、これが不安感を増すことが分かってからは、出来るだけ風邪をひかないように、鼻を詰まらせない様に、普段の健康管理にいつも以上に気を遣うようになりました。

あとは物の考え方、とらえ方を変えることが出来たことが良かったのかもしれません。

私の場合はパニック発作を起こした時の直接の原因となるストレスに対して、比較的すぐに「退職」という形で対処しましたが、それだけでなく価値観の変革が出来たので、以後生きていく上で今までの自分とは全く違うスタンスになれたことがよかったのではないかと思っています。

本当に物は考えようで、今となれば、あのストレスでさえ、(代償は大きかったけれど、)私の人生に大きな教えを持たらせてくれたものであると感謝すらしてしまいます。

というくらい、ものの考え方、とらえ方を変えると楽になりました。この辺りは抽象的ですみません。

とにかく、上記で述べましたように、生活は規則正しく、疲れを持ち越さない。めざせ快眠快食快便。自分一人で抱え込まず、何とかなる精神で日々を過ごす。ひとのことは放っておいて、自分の人生を楽しむ。呼吸法はいいよ。

超簡単にいいますと、このような感じでしょうか。

7.パニック発作と東洋医学

東洋医学では、パニックは単なる心の病ではなく、心身全体のバランスが崩れた状態と考えられています。特に、以下の要素が関係していると考えられています。

  • 気(き): 生命エネルギー。気の巡りが滞ると、様々な不調が現れます。
  • 血(けつ): 体を潤す栄養分。血の巡りが悪くなると、心身が不安定になりやすくなります。
  • 水(すい): 体内の水分。水のバランスが崩れると、心身がむくみ、不快感が生じます。

パニック発作は、これらの要素がうまく働かず、心身が緊張状態に陥り、不安や恐怖感が過剰に高まる状態と捉えられます。

また、五臓六腑のうちの「心」と「肝」の働きが乱れることで、不安や恐怖といった感情が過剰に高まってしまうと考えられています。

肝: 情緒を司り、気の流れをスムーズにする働きがあります。肝の働きが滞ると、イライラしやすくなったり、抑うつ状態になったりすることがあります。

心: 精神活動の中心であり、意識や思考を司ります。心が不安定になると、不眠やイライラ、集中力の低下などの症状が現れることがあります。

東洋医学による治療は、薬物療法と併用することで、より効果が期待できる場合があります。具体的には、以下の効果が期待できます。

  • 不安感の軽減: 漢方薬や鍼灸によって、不安感や緊張感が軽減されます。
  • 睡眠の質の向上: 不眠に悩んでいる場合、漢方薬や鍼灸によって睡眠の質が向上することがあります。
  • 自律神経の安定: 自律神経のバランスが整い、心身が安定します。

東洋医学は、パニックの原因を心身のバランスの乱れと捉え、漢方薬や鍼灸、食養生などによって心身を総合的に治療します。西洋医学の治療と併用することで、より効果的にパニックの症状を改善できる可能性があります。

私の場合も東洋医学的見方をすれば、「心」に問題が一番にあり、そこから心身のバランスが崩れていったと推測できます。気血水のバランスを整えてくれる漢方を服用しながら前章でお話しました認知療法的対処法で乗り越えてきたと言えます。

一方、私はかかりつけ医で事情を話し、抗不安薬を数回分だけ処方してもらい、持ち歩いていました。いざとなったらこれを飲めばいい!!という意味で、それはとても心強いお守りの役目をはたしてくれました。が、結局一度も飲むこともなく、十数年が過ぎましたので数年前に処分してしまい、現在にいたります。

まさしく、西洋医学の薬と併用すること(服用はしませんでしたが)で、より効果的にパニックの症状を改善できたことになります。

8.まとめ

以上、パニック発作とパニック障害についてお話してきました。

今現在でも一人でエレベーターに乗るときは緊張しますが、それでも随分と自分の脳内が安定していることが、自分でもわかります。

要するに、「恐怖感は自分が作り出しているものである」ということが冷静にわかるようになってきたからだと思います。

いっとき前であれば、勝手に、エレベーターが途中で止まってしまうことを想像して、勝手に、それに対して気がどうにかなってしまう自分を想像してしまっていたのですが、最近であれば、止まった時は止まった時のこと。と冷静でいられます。

いっとき前であれば、飛行機のドアがしまった瞬間に「息がつまる!」とても苦しくなっていましたが、今であれば、「普通に息は出来る」と感じられるようになりました。

パニックの経験が全くない方にとっては、いったい何言ってるの???くらいの事だと思いますが、1度でも経験のある方にはわかっていただけることだと思います。

私の場合はパニック発作を何度か起こしても、多少の不便はあったものの、日常生活にはさほど支障はありませんでした。当時の仕事は辞めてしまいましたが、すぐに次の仕事に就くことが出来ました。すこし遠方の旅行も楽しめるようになりました。とても軽い方なのだと思います。

しかし、いつまた急にパニック発作が起こらないとも限らない・・・という恐怖はいつもあります。(今では対処法を知っているので大ごとにはならないと思いますが・・・)

人間の頭の中は本当にどうなっているのでしょうね。

このブログを読んでいただいたということは、少なからずパニック発作、パニック障害に興味をお持ちの方、もしくは当事者の方だと思われます。

このブログは一般的によく言われていることに加え、私の経験を書いてまいりましたが、パニックの原因も症状も本当に人それぞれなようです。

ある人にはこれがよく効き、ある人には同じことが全然効かないということも多々あるようです。

ですから、私の経験も参考にしていただけるかどうかはわかりません。

しかし、つらい時期をどうにかこうにか乗り越え、今現在は平穏無事に?!暮らせているパニック経験者がいるということは、何らかの励みにしていただけると思います。

もし、パニックに悩んでおられる方がおられましたら、こきあ相談薬店でいつでもお話はおうかがいしますし、これ以外の経験談をお話することもできます。いつでもご連絡お待ちしております。

                     こきあ相談薬店 薬剤師 芳田里美

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