毎月9日を「温灸の日」として開催している、当店の温灸体験&季節の養生講座。

先日、第5回目となる「東洋医学で読み解く『湿気』と上手につきあう養生訓」が無事に終了いたしました!

今回は、講座でお話しした「梅雨の重だるさをスッキリ解消するための知恵」をギュッと凝縮してお届けします。

「なんとなく体が重い」「朝から顔がパンパン…」と感じている方は、ぜひ今日からのセルフケアに役立ててくださいね。

梅雨の「重だるい」は体内の湿の影響

「なんとなく体が重い」「やる気が出ない」「朝起きたら顔がパンパン……」 そんな不調を感じている方はおられませんか?。

実は、日本という国はその地理的条件から、非常に「湿気」の影響を受けやすい環境にあります。

東洋医学では、この時期の不調の正体を「湿(しつ)」、そしてそれが体に悪影響を及ぼす状態を「湿邪(しつじゃ)」と呼んでいます。


日本は「蒸し風呂」?ハワイとは違う日本の湿気

日本は四方を海に囲まれているため、太平洋高気圧から湿った空気が流れ込みやすく、風が抜けにくいのが特徴です。

特に梅雨や夏は、室内がまるで「蒸し風呂」のような状態になります。

これに対し、同じ島国でもハワイなどは貿易風が常に湿気を吹き飛ばしてくれるため、気温が高くてもカラッとしています。

東洋医学の分類でいうと、ハワイは「乾燥(燥)」の性質に近いのですが、日本の夏は圧倒的に「湿」の国なのです。

私たちの体は、この高い湿度という環境(外からの湿気)と、冷たいものの摂りすぎといった飲食(内からの湿気)の両面から攻め立てられてしまいます。

あなたの体の中の水、滞っていませんか?

東洋医学では、体内の水分をその状態によって3つのステップで考えます。

  1. 津液(しんえき): 全身を巡るサラサラしたきれいな水。肌や髪を潤し、関節の動きを滑らかにする、生命維持に不可欠な「良い水」です。
  2. 湿(しつ): 津液の巡りが悪くなり、体の一部に停滞し始めた「ジメジメした水」。いわば、「体の中の水たまり」です。これがだるさやむくみの原因となります。
  3. 痰(たん): 湿が放置され、熱や時間の経過によってドロドロに煮詰まった塊。実際の痰だけでなく、意外ですがめまい、しこり、動悸、さらには不安感といった精神的な症状まで引き起こします。

このように、本来きれいなはずの「水」が、排水の悪い場所に溜まった汚水のように変化してしまうのが、梅雨の不調の始まりなのです。

「湿邪」セルフチェック!あなたはどのくらい溜まっている?

以下の症状に心当たりはありませんか?これらはすべて、体内に余分な水分が溜まったサインです。

  • 全身・頭: 体が重だるい、やる気が出ない、頭が締め付けられるように痛む。
  • 顔・肌: 手足や顔がパンパンにむくむ、顔色が黄色っぽい、吹き出物やニキビができやすい、オイリー肌。
  • お腹・消化器: 食欲不振、軟便、あるいは便秘気味、お腹がぽちゃぽちゃ鳴る、げっぷやおならが多い。
  • 舌の状態: 舌が膨らんでいる(縁に歯形がついている)、舌のコケが厚い。

もし多くの項目にチェックがついたなら、あなたの体は今、「雨の日に外に干された洗濯物」のような状態かもしれません。早急な「除湿」が必要です。

湿邪の厄介な性質:「重い・粘り強い・停滞する」

東洋医学には『千寒易去、一湿難除(せんかんえききょ、いっしつなんじょ)』という古い言葉があります。

「千もの冷え(寒)は温めれば追い出せるが、たった一つの湿を取り除くのはそれほど難しい」という意味です。

湿邪には、それほど厄介な3つの特徴があります。

① 重い性質

湿は水を含んだスポンジのように、体を重くさせます。また、水は下に流れるため、足のむくみとして現れやすいのが特徴です。

② 粘り強い(粘滞性)性質

ベタベタして停滞しやすいため、一度体に入ると追い出すのが非常に困難です。

③ 巡りを塞ぐ

湿が体の中に居座ると、大切なエネルギーである「気」や、栄養を運ぶ「血(けつ)」の通り道を塞いでしまいます。その結果、関節痛や古傷の疼きといった不調を引き起こすのです。

体の除湿器「脾(ひ)」を守って!

体内に溜まった「湿」を外に出すルートは、大便・小便・汗の3つしかありません。

この水分代謝をコントロールし、食べ物からエネルギーを生み出す司令塔が、東洋医学でいう「脾(ひ)≒胃腸」です。

いわば、私たちの体にとっての「除湿器」です。

しかし、この除湿器は「湿気」そのものに非常に弱く、湿度が高いとすぐに機能が落ちて故障してしまいます。

即ち、梅雨を快適に過ごす最大の秘訣は、この「胃腸を元気に保つこと」に尽きます。

食養生:内側から除湿する「薬食同源」の知恵

胃腸という除湿器の働きを助けるために、日々の食事で意識したいポイントが3つあります。

◎ 余分な水を出す「利水(りすい)」

  • 食材: きゅうり、冬瓜、なす、もやし、ハトムギ、あずき、コーン茶(トウモロコシのひげ)。
  • これらは体内の水はけを良くしてくれます。

◎ 胃腸を助ける「健脾(けんぴ)」

  • 食材: 山芋(長芋)、きのこ類、キャベツ、サツマイモ、かぼちゃ。
  • 胃腸を丈夫にして、水分代謝のパワーを底上げします。

◎ 香りで巡らせる「芳香(ほうこう)」

  • 食材: 生姜、大葉(しそ)、ネギ、ミョウガ、セロリ。
  • 香りの強い食材は、滞った気を巡らせ、湿を追い散らしてくれます。

※ 避けるべき・控えるべきもの

ただしせっかくの養生も、以下のようなものを摂りすぎては台無しになってしまいます。

  • 冷たいもの・生もの: 冷たい飲み物やアイス、生野菜は、除湿器である胃腸を芯から冷やして機能を停止させてしまいます。
  • 甘いもの・脂っこいもの: ケーキや揚げ物は、体内で「ネバネバした湿」をダイレクトに作り出します。
  • 過剰な水分摂取: 喉が渇いていないのに「体にいいから」と水を飲みすぎるのは、水たまりを増やすだけの逆効果です。

生活習慣:外からの「湿邪」をガードする

環境や日々の行動でも、湿邪を寄せ付けない工夫をしましょう。

  • 湿度管理: エアコンの除湿機能や除湿機を使い、室内の湿度を40〜60%に保ちましょう。湿気の溜まった台所や浴室など、こまめな換気も大切です。
  • 体を冷やさない: 雨に濡れたらすぐに拭きましょう。雨の日の外出時は着替え、特に靴下の替えを持ち歩くことをおススメします。
  • 入浴:湯船に浸かって芯から温まり、じわっと汗をかきましょう。(体の負担にならない程度にしてください)
  • 頭はすぐに乾かす: 頭は湿気が侵入しやすい場所です。シャンプー後は放置せず、すぐにドライヤーで乾かしてください。
  • 床の湿気を避ける: 湿は下に溜まります。床に直接座らず椅子を使う、寝る時はすのこやマットレスを利用して床からの湿気を遮断しましょう。

ツボ押し:自分で行う「除湿スイッチ」

不調を感じた時に押したい、おすすめのツボをご紹介します。

  1. 足三里(あしさんり): 膝の下にあるツボ。胃腸を元気にし、だるさを改善します。
  2. 陰陵泉(いんりょうせん): 膝の内側、すねの骨のくぼみの下。むくみやだるさの特効薬です。
  3. 水分(すいぶん): おへその指1本分上。文字通り、水分代謝を助けます。
  4. 百会(ひゃくえ): 頭のてっぺん。湿による頭痛やストレスを和らげます。
  5. 内関(ないかん): 手首のしわから指3本分下。吐き気や不安感に効果的です。

今日から始める「溜めない、入れない、出す」生活

湿邪は、放っておくとドロドロの「痰」に変わり、さらに深刻な病気の引き金になります。 「最近、体が重いな」と感じたその瞬間が、養生を始めるベストタイミングです。

  1. 溜めない: 適度な運動や入浴で汗をかく習慣を。
  2. 入れない: 冷たいもの、甘いものを控える。
  3. 出す: 水はけを良くする食材を味方につける。

この3つのポイントを意識して、ジメジメした梅雨を軽やかに乗り越えましょう。

梅雨の養生をしっかり行うことが、その後の暑い夏を元気に過ごすための土台となります。

今日からできる一歩で、ぜひ、心も体も「晴れやか」に過ごしてくださいね。

このような日常生活に簡単に取り入れていただけるような養生のお話を毎回の講座ではお話させていただいています。

ご興味がおありになる方はぜひ、ご参加おまちしております(*^^*)

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